「医療、情報、工学が紡ぐ新しい世界」
~医療の明日を考える~
平成24年11月10日・11日に開催された第45回広島大学霞祭へ、「情報医工学展」として参加。広島大学、広島市立大学、広島工業大学の3大学がプログラムを展開。広島市立大学は、3年生と1年生がグループを組み、情報技術を活用した最先端医療のこれからを見据えたパネル3枚を展示しました。
医療用への展開、活用の可能性が広がる「医療用タブレット端末」
製作者:3年 南 1年 中川・源内
iPadをはじめ、近年目覚ましく発展している「タブレット端末」。このタブレット端末をもっと医療に活用することはできないか、という発想から情報科学部3年南雄也君が中心になりパネルを発表。1年の源内君、中川君が制作をサポート。タブレット端末のメリット、デメリットはもとより、医療用としての可能性を探りました。展示の内容には、より多くの方が理解しやすいよう「タッチパネルの仕組み」や「解像度ってなに?」といった解説も加えました。
特に苦労したのは、「最新の情報を載せること」だったそうです。日々技術が更新されるタブレット端末。そのなかで「最先端の情報」をいかに抽出し、タイミング良く発表するかが大変だったとか。今後は、自分たちでもアプリの開発などを行いたいと話してくれました。
「情報医工学プログラムのなかで、特に印象に残っているのは放射線科。情報技術を使った画像処理は、特に身近に感じることができました」
3年生 南雄也君
情報の共有化で医療機関を結ぶ「電子カルテについて」
製作者:3年 齋藤 1年 石井・岡本・三上
すでに大規模な病院では導入の進んでいる「電子カルテ」。しかし、地域の医療現場では導入費用などのコスト面の問題から、いまだに紙のカルテを使用している医療機関が多いのが現実。その中で、情報科学部3年の齋藤愛さんは「カルテの電子化が進めば、自宅介護もしやすくなるのではないか」との思いから電子カルテについて発表しました。1年の石井さん、岡本さん、三上さんが制作サポートをしています。診療・介護記録を共有化すれば、病院を転院した場合でも同じ診療を受けることができ、医者と患者との意思疎通も取りやすくなります。
展示に訪れた方からは「紹介状がすぐに出してもらえると助かるわ」といった意見もいただいたとか。「そういうことを知ってもらえてうれしかった」と齋藤さん。電子カルテが普及し、機能が追加されていくことで医療の今後も大きく変わってきそうです。
「祖母が病気で、医療系にも興味があったので2年からプログラムを受講しました。学校の授業とは全く違うので、知識の幅が広がります」
3年生 齋藤愛さん
どこまで自分の手に近づけるか「ロボット義手について」
製作者:3年 藤田 1年 池田・田邊
情報科学部3年の藤田俊樹君が中心となり、1年の池田さんと田邊さんがサポートをして作り上げた「ロボット義手について」の展示。きっかけは、藤田君が授業の中で「もし、自分の腕よりすごい動きをするロボット義手ができたら、切り落としてまで替えるかどうか」という課題が投げかけられたことから。藤田君の答えは「若いうちは、自分の腕のほうが良いと思うけど、年をとって、筋力が落ちたり機能が弱ったりしたら付け替えてもいいかもしれない」と思ったそうです。義手ロボットは、現段階では自分の手のように動かすだけの技術開発は進んでいませんが、応用として様々な展開があります。例えば、「HAL(パワーアシストスーツ)」もその一例。皮膚表面に貼付したセンサーで生体信号を検出して人の動きを支援するもので、麻痺で体を動かすことができない人でも支援を受けることができ、反対に、介護の現場では、介護をする人をサポートする技術の発展にもつながります。ロボット義手の発展は、未来の医療や福祉を支えていくために注目を浴びていきそうです。
「トライアスロンをしていて、体の仕組みにも興味がありプログラムを受講しました。来年は、広島大学や広島工業大学の人と一緒に展示を制作したいです」
3年生 藤田俊樹君