より深く医工学とつながりのある研究室を選んで、大学院へ進みました。
大学院に行こうと決めたのは、3年生の冬。就職活動が本格的にスタートしたときに、「本当に就職したいのか」と自問自答したんです。そのとき思い出したのが、中学生のときにあこがれた「大学院生」で、単純に大学院に対する憧れからです(笑)。でも、大学院に行くとなったら、それなりにしっかりとした研究をしないと時間も金も無駄だと思い、教授が厳しく、しかもしっかり勉強ができる研究室を希望したんです。また、その研究室が、情報医工学と密接につながりのある研究をしていたのもありますね。
今、研究室では自立走行する車いすロボットの設計をしています。実際に売っている車いすを分解して、動くための仕組みを全てコンピュータにさせる。地図情報を参照しながら、ロボット自身が考えて、道路を走行したり建物内を移動するような車いすを研究しています。せっかく2年間延長して勉強するので、将来的にはその研究を活かせる分野にいきたいと思っています。何よりも車いすロボットを世の中に出したい。母が介護職をやっているのですが、介護者を車いすに乗せる作業はとても大変で時間も体力も費やすという話も聞いていたんです。車いすロボットは色々なところで研究されていて、ちょっと検索すれば論文もたくさんあるんです。なのに、実用化に至っていない。福祉のためのロボットを研究しているのに実際に社会で役に立っていないのはおかしい話だと思うんです。車いすロボットの理論なり設計なりを確立させて、ちゃんと使ってもらえる車いすロボットを世の中に出したいと思っています。
「友だちに誘われて」というような気軽なスタンスでも受講してみて欲しい。
医工学プログラムは就活の時期とかぶるときがあり、辞めていく人も多かったんです。受講の修了証も就活が終わった時期にもらえるし、就活に使える「モノ」としては何もない。でも、医工学が「使えない」と言って辞めるのはもったいないと思います。例えば、医工学を受けているだけで、すごくいろんな話をすることができる。他の大学との交流や自分たちで企画した合宿の話や広島大学の霞祭に参加したときの話など、いくらでも話す「ネタ」ができるんです。これって就活ではとても強いアピール材料になりますよね。
そんなに時間を拘束しないし、しかも人とは違った知識を得ることができる。情報医工学を受けると、進むべき道の選択の幅が広がるし、選択が決まっている人はその道が深まる。医学をやりたかったけど、何らかの理由で市立大に居るという友人は、楽しくてしょうがないと言っています。あきらめかけていた何かがきっとつかめると思うんですよ。
吉岡敬介(情報科学部システム工学科4年生)