既存の治療装置にはない画期的な機構の動作を直接見ることができ、
非常に感動した。
まず始めに、新製品部の営業課・医療システム技術課の方々から三菱重工広島製作所のトータルな概要について説明を受けた。主要製品はコンプレッサ・タービン、製鉄機械、といった工業用の大型機器がメインであり、自分がイメージしていた通りのラインナップであった。
しかし放射線治療装置の開発・生産はそれらとは毛色が異なり、これは前々から不思議に思っていた。説明によると、会社の取り組みとして「21世紀を迎えるにあたり新しい分野の製品開発を行う」というスローガンのもと、テーマを社内全体から公募した際に採用されたそうだ。
医療機器は言うなれば高度な技術の結晶であり、新規の開発が容易ではないことは事前に分かっていたため、正直なところ少し無茶ではなかったのかと思っていたが、広島製作所以外にも多岐にわたる工業製品開発の拠点が各地に点在し、必要な医療機器の要素技術の集約が容易であるとの説明を受け納得できた。三菱重工の工業技術のデパート的なスタンスが上手く活かせているのではないかと思った。
また、装置の試運転の見学では既存の治療装置にはない動体追尾を可能にする画期的な機構が動作しているところを直接見ることができ、非常に感動した。
単なる工場見学とせず、進路を決定していく上での判断材料として活かしていきたい。
ここで、事前の病院実習で痛感したことの一つでもある、導入されている放射線関連機器の多くが海外メーカー製であった点を思い出した。しかし三菱製は既存のものに比べて、ユーザーである現場の医師や患者への負担の大幅な軽減が見事に実現されていることが実感でき、流通実績で勝る海外勢に対して技術面でのアドバンテージが評価されれば、必ず大きなシェアが獲得できると思った。
莫大な導入費用や治療室の新設といった問題があることは理解しているが、人の命を救う医療の現場において本来重要視するべきなのは、こういったより有効な技術の導入であると個人的には考えている。
今回は、実際に開発に携わる方々に直に解説していただき非常に有意義であった。また、事前の病院実習で自分が感じたことと照らし合わせながら見学することができた点も満足である。 これを単なる工場見学として捉えるのではなく、自分の希望の進路を決定していく上での判断材料として活かしていきたい。
森光亮介(博士前期課程情報科学研究科システム工学専攻1年:写真左)